手記は、患者の不審な急変が相次いだ00年からクリニックが01年3月に閉院するまでの様子を、カルテやメモをもとに執筆。突然苦しみだした患者 の治療に全力であたる医師や看護師たちの緊迫したやり取りなどを再現した。医師の視点から、症状や処置の様子が克明に記されている。
「ほんの少し前まで、元気だった人が…」
戸惑いが不信感に代わり、准看護師として勤務していた守大助受刑者(38)への疑惑が高まる。警察に連絡し、事件が発覚すると、今度は取材攻勢にさらされた。「おまえなんか、医者やる資格ない」などとののしる匿名の手紙も多数届いたという。
「私自身、もう限界だった。ずっと食べることも眠ることもできない」
肉体的にも、精神的にも追い詰められていく様子が、赤裸々に記されている。
手記は01年8月に完成していたが、守受刑者の刑が確定したことなどを契機に、出版を決意。半田さんは、出版に際して記した文書で「事件のことを 思い出すことさえ苦しい毎日でした。何を言われようと正しいことはあくまで正しい。原稿を出版することで真実を知っていただきたい」とコメントした。
本を編集した、夫で東北大の半田康延客員教授は「妻は正義の告白をしたと信じている。医療現場で何があったのかを、本としてきちんと残したい」と話している。
四六判222ページ、1600円(税抜き)。仙台市内の主な書店などで販売している。問い合わせは、本の森(022・712・4888)。