2011年10月13日 読売新聞
乳がん・卵巣がんの中には、特定の遺伝子の変異によって、がんになりやすい体質を持っているため、発症するタイプがある。家族の発症歴などから遺伝子検査で変異がわかれば、早期発見のためのこまめな検診や、適切な治療につなげることができる。
検査で確認、予防・治療に有効
遺伝性乳がん・卵巣がんと呼ばれ、関連する主な二つの遺伝子であるBRCA1、BRCA2のいずれかに変異があると、56~87%が70歳までに乳がんを発症し、27~44%の人が卵巣がんを発症するとの海外のデータがある。
乳がん全体の5~10%を占めるとされ、通常の乳がんより10~15歳若い年齢で発症するのも特徴だ。2分の1の確率で親から子どもへ遺伝する。
自身が発症者で、血縁者に乳がん、卵巣がんを発症した人がいるなど疑いがある場合、血液検査で二つの遺伝子の変異を調べることができる。発症者に変異がみつかった場合、血縁者も同じ変異があるか検査で確かめれば、発症前から知ることができる。
この遺伝子検査は保険がきかない。自費で、患者本人の場合は約20万円、血縁者は約3万円かかる。
遺伝がわかった場合、18歳から乳がんの自己検診(触診、視診)を月に1度行い、25歳からはマンモグラフィーなどによる検診を始めることが勧められている。MRI(磁気共鳴画像装置)検診も併せて行うとよいとされる。
乳がんは女性ホルモンの影響を受けるため、ホルモンを抑える薬を予防的に使うことも有効とされる。
卵巣がんは、検診で発見されにくいため、出産を終えた女性や閉経後の女性は、予防切除も選択肢として勧められている。
乳がんを発症した場合、同じ乳房の別の場所に再発するリスクが高いため、温存手術よりも全摘手術が勧められる。もう一方の乳房にも発症することもある。
昭和大病院(東京・品川区)で乳がん治療を受けている40歳代の女性は、血縁者に乳がん患者がいたことなどから、遺伝子検査を受け、遺伝性乳がんであることがわかった。再発を防ぐために全摘手術を選び、2人の子どもがいて、これ以上出産は望まないため、両側の卵巣を予防的に切除した。妹も同じ遺伝子変異を持つことが検査でわかり、マンモグラフィーとMRI検査を毎年受診している。
日本乳癌学会は2010年7月、昭和大病院ブレストセンター長の中村清吾さんを班長とする研究班を設置。今年9月に更新した乳癌診療ガイドライン2011年版(疫学・診断編)では、遺伝性がんについての内容を充実させた。
同研究班はホームページで、遺伝性乳がん・卵巣がんの可能性を調べる自己チェック表や、検査が受けられる病院名(37施設)を公開。まだ施設は限られており、病院側の体制整備も急がれる。中村さんは、「チェック表で当てはまる人は、まずはホームページに掲載されている病院に相談してほしい」と訴える。
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